島が沸いた2日間!第15回隠岐古典相撲大会

9月14日・15日の2日間に渡って
第15回隠岐古典相撲大会が開催されました

町政20周年を祝って開催された今回の古典相撲大会
前回の大会から実に12年ぶり!!


この大会に向けての「地どり稽古」が始まったのは
ちょうどひと月ほど前だったのですが
その頃から次第次第に高まっていった古典への盛り上がりも
いよいよクライマックス!!

相撲とは縁遠い我が家でさえも
古典相撲モード全開で迎えたこの日。

お店は常時「古典相撲動画」スタンバイ状態!!
息子たち2名も松江から帰っての観戦・応援です
(誰一人相撲はとったことないし声もかかりませんけどね)

日時:9月14日・15日
会場:隠岐の島町役場西側駐車場\\特設//土俵
~駐車場のコンクリをはがして土俵を作ってた!!~



必勝祈願の参詣と出陣式

古典相撲は神様への奉納相撲であり、「神事」。
大会は14日の午後5時からですが
実は、それまでにもいろいろとしきたりがあるのだそうです

西町・港町の力士たちも
皆さん揃って、地区の神様への必勝祈願の参詣から…。

お店を開けるぎりぎりのタイミングだったので
参詣 には立ち会えませんでしたが
集合写真を撮られる頃になんとか滑り込みで…


大巾(おおはば)と呼ばれる化粧まわしを締めた役力士が前列に
その後ろに割相撲に出場する力士たちが、ズラリ勢ぞろい。

ひと月の間、鍛え上げたこの体躯!!
引き締まった表情のなんと誇らし気なこと!!

ご近所さんだったりおつきあいのある方だったりするわけで
とっても親しみやすい方ばかりなのですが
この日の皆さんは
いつもの「顔」とはちょっと異なる力士風情。
戦う男のカッコよさをたたえていらっしゃいましたよ

いよいよ始まり


その日の夕方
観戦に向かうという息子たちを送り届けるために
開会直前の会場へ向かいました

日が傾きだす頃とはいえ
夏が戻ってきたかのような強い日差しの中
すでにたくさんの観客が土俵を取り囲んで、熱気むんむん!!


・・・

奉納相撲のはじまりは「行司口上」から。

隠岐の海関の引退相撲でも
すばらしい「口上」を披露された浜田さんが
今回もその役を務められたのだそう

20分にも及ぶ口上を、あの伸びやかな声で、朗々と

YouTube(隠岐ちゃん)アーカイブ配信で
今も見ることができますよ

・・・

その後、全力士による「土俵入り」。



参加する力士達が地区ごとに土俵にあがり
ひとりずつ、地区や家、職業など、紹介されるのです
(中には『彼女募集中』なんてのもあったりする)

まさに、顔見せ!!



紹介のことばも、所作も、みなさんの表情も
すべてが見ごたえあって、実におもしろい。



全部で200人以上の力士の紹介がなされるわけなので
かかる時間も壮大!!
3時間に及ぶ土俵入りです


・・・

このあと、いよいよ取組。
~やっと!!~

草結び」と呼ばれる最初の一番は
10代の力士がつとめます
これに選ばれるのも誉れなことですね


・・・

そこから次々取り組みが始まるか…と思ったら
草結びのあとは「相撲踊り」が始まります
…これはぜったい見逃せないやつ…

人差し指を立てて軽~く握ったその手を
カニスタイル(両腕を胸のあたりの高さにあげてる)に掲げつつ
回し姿の子どもたちが
相撲音頭(?)に合わせて、土俵の上で踊ります

photo by 松江特派員①


節に合わせて、向き合ったり、中央に寄ったりしつつ
合いの手的に発する「や~!!」という掛け声がまたかわいらしい♪

そろそろおしまい、というタイミングで飛び交うおひねりに
会場はドッと盛り上がりますよ

♪ここらでおしまい、ぱら~り、ぱらり、ぱら~り、ぱらり・・・♪

~土俵から引いて行く時も1本指のカニスタイルで~

一度聞いちゃうと、しばらくは頭から離れないあの曲…

私は勝手に「相撲音頭」なんて言ってますが
きっと正式な名前があるんでしょうね


長い夜のはじまりはじまり~♪

相撲踊りのあとは
いよいよ本格的に取組が始まります
~今度こそ!!~


四股名をもたない力士達が取り組む「割相撲」と
誰かが連続で5人勝ち抜くまで行われる「飛びつき五人抜き」が
中憩をはさんで年代別に行われます

ゴツン!!と音が響くような立ち合いあり…
土俵下への落下激突…それも覚悟(?)の上なのか
くんずほぐれつの投げ合いあり…

大相撲のように体が大きな相手ばかりじゃなく
身軽なみなさんだからこその闘いに
手に汗握り、息をするのも忘れるほどの緊張感…
そんな勝負が続きました


夜を徹して繰り広げられる、暑い夜の、熱いアツい闘いです


・・・・

なんたって「徹夜相撲」ですからね
とんでもない長丁場。
力士もがんばりますが観客も覚悟が必要!!


腹ごしらえも必要でしょう!ということで
徹夜の屋台チームのみなさんも
この日を盛り上げるべくがんばっていらっしゃいました


左は我らが西町、『月あかりカフェ』さんの屋台
右は加茂のお料理どころ『結』さんの屋台


役場の町民ホールに沿った芝生スペースが屋台コーナーでした
土俵のエリアと区別されていて
とてもいい雰囲気になっていましたね

もちろん私たちも

おいしい麦酒で喉を潤しました♪
~送迎バスは神!!~


photo by 松江特派員①

行事が述べることばも、所作も
じっくり味わうと奥深く、おもしろいものですね

この大会が神事であるということ

神様への奉納であるということ
そのことを改めて思いました



photo by 松江特派員①

「都万は釜屋の~、●●屋の~、あんさ~~ん!!」

地区と屋号、それからその家の何番目の子どもなのかを告げる
古典相撲独特の呼び出しもまたおもしろい。



長男は「あんさん」
次男以降は「おっつぁん」と紹介されます

そうそう
「おとうさん」と呼ばれる人もいてびっくり!
本拠地がこちらにない人たちはこう紹介されるのだそう



近所のお兄さんやよく知ってるおじさまたちが
次々と登場してくるこの「割相撲」や「五人抜き」は
勝負の面白さ以外にも楽しめる要素がたくさんありますね


かくして、夜を徹して続く熱い取組み…

全部見たいところでしたが
盆を超えるのでは?という忙しさだったこの日
体力的にもう限界越え…

明日の通常営業も控えているし
麦酒職人「みずまっくす」の取組みも観戦できたし
運転手を買ってでてくれた松江特派員①の車に乗って一時撤退。

役場の裏手から、ふと会場の方向を見上げると
月明りの下、会場一帯がぼわっと光って浮かび上がるようにありました

車を停めてもらい外に出ると
勝負のタイミングなのでしょう

どっと湧き上がる歓声が、波のように寄せてくる

つめたい光を放って凛と輝く月の下に

熱気を帯びて浮かび上がる会場一帯…

対照的な2つの灯りは
美しくもあり、ちょっと不思議な風情でもあり…
なんとも印象的な遠景でした


いよいよ役力士登場!!

というわけで
明け方目覚めた時には「役相撲」が始まる頃合いでした

正五番勝負、番々外三役、番外三役
そして、正三役と続く「役相撲」。
個人勝負の「割相撲」と違い
地区から選ばれた各位の力士(小結・関脇・大関)が
地区を背負って対戦する「役相撲」…

ここからは緊張感も倍増です

配信に映し出される応援したかった仲間の姿や
我らが西町の力士たちの気迫の雰囲気とその熱戦に
歓声あげたりグッときたり泣きそうになったり

リアルタイムでこれを楽しめるなんて
配信サービスあればこそ
( ;∀;)


ただ…

そうこうしているうちに
「これはやっぱり会場で見るべき!!」と言い出した息子のことばに意を固め
テンテンのお散歩と朝の準備をすませて、いざ!!
…送迎バスはやっぱり、神!!…


ちょうど会場に着いた頃
はるかかなたから聞こえてきたのは「相撲甚句」


塩振りを先頭にして

「陣宿」に控えていた着流し姿の役力士たちが
ちょうど会場に向かうところでした

朗々と歌われる相撲甚句にあわせ
着流し姿力士達が唱える合いの手「は~、どすこい、どすこい」のあの迫力


そこから先の2時間あまり…

本当は贔屓の力士の応援に…と向かった筈だったのに
地区も、寄り方も座元も
知ってる力士もそうでない力士も
そんなことは不思議とどうでもよくなって
古典相撲の熱狂的な盛り上がりの中にひきずりこまれていった感覚…

photo by 松江特派員①

土俵脇で出番を待つ力士たち
photo by 松江特派員①

優しいから強いのか
強いからやさしくなれるのか
我らが餃子名人トモチンもかっこよかった!!
photo by 松江特派員①

激励の意を込めて
これから土俵に向かう力士の背に投げられる塩

一晩で1トン以上の塩が舞う
photo by 松江特派員①

歓喜のひととき。
泣ける
( ;∀;)


今大会のクライマックス
正三役大関の一番

photo by 松江特派員①



勝負の前…神々しささえ感じる力士の一挙手一投足に
息をのむほどのあの気迫に
力士の背中を押すかのような相撲甚句と合いの手に
飛び散る塩と怒号のような声援に

身震いするような感動を味わいました


応援したかった教え子の奮闘
悔し気な仲間の表情
我が陣営の勝利を喜び歓喜する男たちの姿
そんな近しい人たちの姿に
何度も何度もぐっときました

様々なシーンひとつひとつに
ここまでに見聞きしてきた世話役さんやご家族の思いが髣髴とし
何度目がしらが熱くなったことか…
(気を抜けばたちまちのうちに号泣レベル)


12年ぶりに開催されたこの古典相撲大会には
各地区それぞれに
ひとりひとりの力士やその家族に
いろんなドラマと思いがあるのだなあ…と。

いや~…

こんな大会が、古来ずっと継承されつづけてきたなんて
(一時中断し、再び有志の思いによって復活)
改めて、隠岐ってすごい!と感じ入った次第です

気迫の掛け声
圧巻の迫力
渾身の男たちの熱量
飛び散る塩に込めた思いの強さとその美しさ

ここまで伝わる伝統の奥深さ
現場でふれたものとそこで味わった感動は
未だにわが胸を占拠しており
ことあるごとにリフレインしてくる

ブンテンのモニターは
きっと今日も古典相撲特集です




・・・・

大会終了後
役相撲を終えた力士たちは
柱にまたがったまま
神聖な土俵の上から各地区へと
足を汚すことなく凱旋します

いろんな「重み」と「思い」を肩に感じながら
この柱を背負っていらっしゃることでしょう

この上にまたがる力士も、もちろん…
次の大会は、水若酢神社の遷宮記念なのだそう

想像しただけでも、胸アツ!!



photo by 松江特派員①




島中が沸いた2日間
胸があつくなりっぱなしの2日間

第15回隠岐古典相撲を通して
「隠岐の島」の魅力とここに根付く底力のようなものを
しみじみ思った2日間でもありました

全力士のみなさま
関係者とご家族のみなさま
大きな感動をありがとうございました

あの興奮を生み出した土俵もまた元通り。
島にも日常が戻りました

あの夜のことが
まるで夢であったかのような気さえします








5件のコメント

  1. 数々の写真の迫力が素晴らしいですね、特に松江特派員さん⓵の作品は感動ものです。凄腕のプロさんですか?相撲当日はおきちやんYouTubeのライブ配信も拝見しました、回線の速度、容量等の制約があったとの事ですが、動画映像と静止画の違いがあるとはいえ迫力が全く違います。 素晴らしいです。
    赤井君からの情報を得てこのサイトを閲覧させて頂いてます、8月に店頭にお伺いして雑談した村上です

    また楽しい情報配信を期待します

    1. 村上健治さま

      覚えております!
      西町大城にお住まいだったという!
      Mさん、赤井さん、と、同級生さんでいらっしゃるとのこと。
      古典相撲の盛り上がりは、隠岐を離れて暮らす方にとって
      故郷への思いと重なるものであったことでしょう
      動画配信も楽しまれたことでしょうね

      松江特派員①は、現在、島を離れて松江で暮らす我が長男です
      旧blogでは、長男を「サムライくん(剣道をがんばっていたので)」次男を「アバレンボウくん(元気いっぱいのやんちゃぼうずだったので)」と称していましたが
      それぞれ成人しましたし、ニックネームで書くのもねえ、と思っていたところ
      次々と松江に暮らすようになったので、特派員、と。
      いつか、本拠地隠岐に帰ってきたらうれしいな~と、そんな願いもこそっと込めまして 笑

      誤字脱字だらけ、気ままな更新のblogですが
      こうして読んでくださる方のコメントにやる気をもらいます
      ありがとうございます
      またぼちぼちと、お店のPRも兼ねまして
      隠岐の暮らしの気配をお伝えできたらいいな~と思っています

      今後ともどうぞよろしくお願いします。

      1. 大昔には早く高速道路が整備されて東京~境港まで一気に行くことができないものかと願った時期もありました。 最近は様々な方々が様々な方法で隠岐の情報を発信していただけてます。流石に故郷の風景変化に帰って見てびっくりする等ということは少なくなりました。  近々また隠岐に移動する予定です、 松江特派員①さんに更なる感動写真の配信を心待ちにしてるとお伝えください

        1. 村上健治さま

          発信については、ツールも手法も驚くほどに変化進化してゆき、驚くばかりです
          ついていくのもやっと、というか、もう時代についていこうとも思わなくなりました(^^ゞ

          幸い、わが家は亡くなった義父の影響で、夫も、息子たちも、それぞれに写真が好き。
          息子にはカメラの師匠ともいうべきよき仲間もいて
          島の景色や行事、人の営みなどを写し取ってくれています
          身内ながら、「いいね!」と思うものもたくさん
          それを島外のみなさまにも見てもらえるなら嬉しいことです

          そういえば、村上さんの息子さんの写真を高校時代の店長が撮影した、ということでしたよね
          今や、誰もが、いつでもカメラ(スマホ)を持ち歩く時代となりましたが
          やっぱり、カメラでちゃんと撮った写真やそのシーンは、記憶に残るもの。

          写真って、いいですよね

          松江特派員①には、必ずや伝えます 笑!
          嬉しいコメントを、ありがとうございました

  2. 最近ではいろいろなサイトに、CGを含めた面白画像が氾濫していますが、魅力的で感動する写真はそう多くはありませんね。私もかつて大昔には一眼レフに凝って光の角度や、絞り値やシャッター速度等々様々技術を会得したいと思って未明早朝に動き回った一時期もありましたが、今ではお手軽スマフォでバンフォーカス無難構図な写真で満足する次第となってしました。松江特派員①さんには大きく期待させて頂きます。

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